小さな法人を対象とした特例措置
新会計基準は、財務情報の透明性を高めることを目的として改正されたため、ほとんどの法人でその適用が求められます。
とはいえ、法人によってその規模感や経理力にもバラつきはあるので、小さな法人については、一部の適用について、負担を軽くする特例措置があります。
特例措置のある項目
その小さな法人では、適用しなくてもよい会計処理や、作らなくてもいい(省略できる)書類があります。
・資産除去債務に係る会計処理 → 適用しなくてもいい
・税効果会計 → 適用しなくてもいい
・キャッシュ・フロー計算書 → 作らなくてもいい
・貸借対照表の注記「資産および負債の状況」 → 作らなくてもいい
・貸借対照表の注記「賃貸等不動産の時価等に関する注記」 → 作らなくてもいい
・附属明細書の「財務規律適合性に関する明細」 → 作らなくてもいい
会計処理では、資産除去債務と税効果会計は、「適用しなくてもいい」となっています。
たとえば、資産除去債務の場合、本来は有形固定資産の撤去費用などを見積って負債に計上する必要があるのですが、それに伴う手間や時間を考慮してやらなくてもいいとされています。税効果会計も同様です。
作成書類では、キャッシュ・フロー計算書などは省略可となっています。
さらに、適用は必要だけど、簡便的な方法でいいとされているものがあります。
・固定資産の減損会計
・退職給付会計
・収益認識会計
たとえば、減損会計では、複雑な判定を行う必要はなく、遊休資産で時価が著しく下落している場合に限って減損損失を計上すればよいとされています。
退職給付会計は、期末要支給額を引当てる、収益認識でも、サービスなどの提供により対価を得ることで収益を計上できるとされています。
このあたりはむずかしい判断もあるため、小さい法人ではとくに配慮としても必要なことでしょうね。
特例措置の対象となる法人の範囲と注意点
特例措置は、「会計監査人を設置していない法人」が対象です。
これは、前述でも少し触れたように、新基準による財務情報の精緻化による効果と、事務負担とのバランスを考慮した結果ともいえます。
そのため、定款で自主的に会計監査人を設置している法人も、会計監査人設置義務のある法人と同じように、この特例措置の対象にはなりません。
いっぽうで、任意監査を受けている場合は、「会計監査人を設置していない法人」対象となります(定款で会計監査人を設置していなければ…ですが)。
とはいえ、適用しなくてもよいとされている資産除去債務や税効果会計は、金額的な影響がとくに大きくなりやすいので、任意監査とはいえども、重要性の判断などは事前に話し合っておくのがよいでしょうね。

