地方公会計担当者になったらここだけはおさえる複式簿記と仕訳のルール

地方公会計の担当となったら理解しておきたい財務書類。
今回はStep.2の仕訳について見ていきます。

目次

仕訳のルール①(複式簿記 vs 単式簿記)

Step.2の仕訳の理解は、地方公会計(統一的な基準)のもとでは欠かせないものです。
ここでは、取引の事例をひとつあげ、仕訳についてみていくことにします。

事例:2021年5月20日に保守点検委託料100,000円を預金口座から支払った。
   なお、予算科目(節)13.委託料

官庁会計、つまり歳入歳出決算のもとでは、
・13.委託料 100,000円
と記録されます。
つまり、「保守点検の委託料に100,000円を支払った」ことがわかります。

いっぽうで、地方公会計(統一的な基準)のもとでは、
 (借方)PL物件費 100,000 (貸方)CF物件費支出 100,000 (摘要)令和3年度〇〇保守点検委託料として
と記録します。

この仕訳をことばに置き換えると
①保守点検の委託料として100,000円かかった(コストが発生)

②キャッシュで払った(預金が減った)

①が原因、②が結果をあらわします。

このように原因と結果の2つの側面をセットで表現することを「複式簿記」といいます。

いっぽうで官庁会計では、
「委託料100,000円」という1つの側面だけ表現するため「単式簿記」とよばれています。

仕訳のルール②(借方と貸方)

仕訳では「借方(かりかた)」と「貸方(かしかた)」という位置を示す名前があります。

             借 方             貸 方
勘定科目金額勘定科目金額
PL 物件費100,000CF 物件費支出100,000

借方は左側、貸方は右側です。

ひらがなで書くと
「かかた」→「り」は、左にはねるので左側。
「かかた」→「し」は、右にはねるので右側。

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仕訳のルール③(金額の符号)

金額の符号は必ず正(プラス)です。

仕訳をExcelで作成しているケースでは、まれにマイナスの値(「△100,000」とか「-100,000」)を見かけますが、
これはやってはいけません。

複式簿記では借方(左)と貸方(右)のどっちに書くかでプラスとマイナスを表現します。

仕訳のルール④(勘定科目)

「勘定科目」とは名前です。
財務書類の4つそれぞれで名前が決まっています。

歳入と歳出で予算科目(款・項・目・節)が決められているのと同じようなイメージです。

いろいろな名前があるので、つい「覚えなきゃ!」となりがちですが、
仕訳に触れていく過程で自然と(嫌でも)覚えてしまうので、
覚えるという作業は必要ないでしょう。

それよりも
勘定科目名の左隣にある「PL」「CF」の意味を理解しておきたいところです。

PL:行政コスト計算書
CF:資金収支計算書

つまり、
「PL 物件費」の勘定科目は「行政コスト計算書」で使う勘定科目、
「CF 物件費支出」勘定科目は「資金収支計算書」で使う勘定科目
という訳です。

ちなみに、
「BS 事業用土地」→「貸借対照表」
「NW 税収等」→「純資産変動計算書」
で使う勘定科目をあらわします。

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